はじめに
デジタルアート/テクノロジーを融合させたクリエイティブ集団、teamLab。彼らのオフィスは「ただ働くための拠点」ではなく、社員自身が“作品の一部”となって働けるような、未来感・体験性を備えた空間として設計されています。今回は、豊洲エリアもしくは東京の拠点におけるそのオフィス空間の特徴・狙い・そして働き方のトレンドとの関係を整理します。
オフィス空間の特徴:未来感とインタラクティブ性
teamLabのオフィスには、以下のような特徴が挙げられます。
- 暗めのライティング+光・プロジェクション演出
光や映像、モーションセンサーを活用した演出が空間に散りばめられ、通常のオフィス照明とは明確に異なる“美しく異世界的な雰囲気”を帯びています。 WIRED+1 - インタラクティブな空間デザイン
壁・天井・床さらには家具・什器などに仕掛けが組まれ、「人が動く」「視線が移る」ことで空間の雰囲気が変化するような体験設計がなされているようです。 Architectural Digest - アートインスタレーション的要素の居住化
オフィスそのものを「展示空間」のように捉え、社員が“鑑賞する側”ではなく“参加する側”として振る舞える設計が施されています。例えば、motion sensor を使った動きが光や映像に反映された例も紹介されています。 WIRED - 境界を曖昧にする設計思想
“仕事場/休憩場”の境界が薄く、「この席=作業だけ」「この部屋=会議だけ」という固定観念を打ち壊すようなゾーニングが意図されていると考えられます。例えば、「人が通る動線がそのまま出会いや発想を生む場に」という設計思想があります。 WIRED
狙い:社員自身が「作品の一部」として働ける場
このような設計がなされる背後には、以下のような狙いがあります。
- クリエイティビティの最大化
静的・固定的なオフィスではなく、動き・変化・影響を受ける“場”としての設計により、社員が思考停止せず“刺激を受けつつ働く”ことを促します。 - 自社ブランド/文化の空間化
teamLabの作品が「観るもの」から「参加する体験」へと進化してきたように、オフィスもその文脈を継ぐ「体験拠点」として機能させていると見えます。社員がそこで働くということ自体がブランド体験の一環になる設計です。 - 働き方の多様化と場所の価値再定義
リモートワークやハイブリッド勤務が進む中、オフィスに「来る意味」「来てよかったと思える体験」を付加することが重要です。teamLabのオフィスは、作業だけの場所ではなく「クリエイティブな場」「出会いや発想の場」という価値を持たせようとしています。 - 組織の境界を超える設計
社員・プロジェクト・パートナーが交わる“場”としてオフィスを捉えることで、内/外、部門間の壁を低くし、イノベーションの機会を増やす狙いもあると考えられます。
働き方トレンドとの関連性
このオフィス事例が、現在の働き方トレンドとどのように関係しているか、いくつか要点を挙げます。
- ハイブリッド勤務・リモート拡大 → オフィスは「来なくてはいけない場所」から「来たい場所」に変化する必要がある。teamLabの空間設計は後者の価値を意図しています。
- 体験価値の重視 → 単に机と椅子があるだけの空間ではなく、体験・インスピレーション・偶然の出会いが起きるような設計が注目されています。
- クリエイティブ職・知識労働者の増加 → デザイン、IT、アート領域での業務が増える中、固定席・固定スタイルではなく、環境を変えて働ける自由も求められています。
- ブランド空間としてのオフィス → オフィス自体が企業文化・ブランドメッセージを体現する場となり、訪問者や社員双方に“この会社らしさ”を感じさせることが重要視されています。
- 可変性と柔軟性 → 組織やプロジェクトの変化に対応できる空間設計(レイアウト変更、動線設計、展示的要素)もトレンドになっています。
まとめ
teamLabのオフィスは、デジタルアート集団である同社ならではの“空間体験を仕事場に取り込む”試みの典型と言えます。社員が「ただ働いている」だけでなく、「この場の中で創り、参加し、影響を受ける」ことで、クリエイティブな成果や文化醸成を促す構造が見えてきます。
オフィスは、もはや「働くための設備」ではなく、「経験・創発・交流を生む場」として進化しており、teamLabの取り組みはその先鋭モデルと言えるでしょう。
