自分でビジネスを始めるために起業すると、「個人事業主」になるのか「法人設立」をするのか迷う人も多いかと思います。
どちらを選択すればいいのでしょうか?
そこで、個人事業主と法人設立についてご説明します。
目次
開業手続きってどうすればいいの?
起業して開業手続きをする方法には2つあります。
個人事業主になるか、法人設立をするか、です。
それぞれ手続きはどのようにしたらいいのでしょうか?
個人事業主
個人事業主となるには、事業所の場所(自宅の場合もある)の所轄の税務署に「個人事業の開業・廃業届出書」を提出するだけです。
その日から個人事業主になることができます。
その時に一緒に、「所得税の青色申告承認申請書」も提出しておけば、独立当初から青色申告をすることができます。保証人は必要ありません。
法人設立
法人設立するためには、会社設立のための登記・認証手続きが必要です。
手続きには10日~15日ほどかかり、お金も15万円~30万円ほど必要になります。
具体的な手続きは、以下のとおりです。
- 事業内容の検討と社員名簿の作成
- 登記所で会社名の類似商号の調査
- 公証役場で定款の作成と認証
- 銀行で出資金の払込
- 登記所で設立登記申請
- 設立手続きが完了
- 登記所で登記簿謄本と印鑑証明書申請
- 諸官庁への届け出
- 税務署
- 社会保険事務所
- 公共職業安定所
- 労働基準監督署
- 開業
個人事業主となる前に知っておくべきこと
個人事業主は勤務形態を表す法律用語の一つです。
個人事業主、フリーランス、自営業など、どれも実態は同じ。
個人事業主は誰にも雇われずに、自分の仕事が自分の収入を生み出します。
小規模ではありますが、ビジネスオーナーとなるのです。
今まで会社員や主婦だった人にとっては、異なるところや、知っておくべきことがあります。
- 労働基準法・労災保険が無い
- 配偶者控除について
労働基準法・労災保険が無い
個人事業主として働くと労働基準法が適用されません。それに、労働災害補償のための労災保険にも加入できません。
労働者としての自分の人権は、自分で守る必要があるのです。
労災保険が無くて不安な場合は、民間保険会社の傷害保険に加入すると良いでしょう。
配偶者控除について
夫がサラリーマンで、妻が個人事業主となった場合でも、配偶者控除や配偶者特別控除は受けられます。
夫が会社から配偶者手当を受けている場合は、会社によって資格要件が異なるので確認する必要があります。
自分の所得税は、収入が103万円を超えた分からかかってきます。
さらに、130万円を超えると、自分自身で国民健康保険や国民年金に加入して保険料を納めることになります。
個人事業主のメリットとデメリット
個人事業主になると、どのようなメリットがあり、デメリットがあるのでしょうか?
個人事業主のメリット
- 手続きが簡単
- 青色申告の恩恵が受けられる
手続きが簡単
個人事業主になる手続は、とても簡単です。
個人事業主の手続き方法は先に説明いたしましたが、所轄の税務署に「個人事業の開業・廃業届出書」を提出したら、その日からなることができるのです。
また、個人事業主を廃業する時も手続きが簡単です。
青色申告の恩恵が受けられる
個人事業主の確定申告で、青色申告を選択すると、節税の恩恵を受けることができます。
個人事業主の確定申告は、白色申告と青色申告のどちらかを選択することができるのです。
税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しておけば、青色申告で申告することができます。
青色申告は65万円の特別控除があり、赤字がでても翌年以降の3年間の黒字と相殺することができます。
家族に支払う経費や交際費も必要経費に計上することができるのです。
青色申告をするには、貸借対照表や帳簿を用意する必要があります。
個人事業主のデメリット
個人事業主の社会的信用を法人と比べると低くなってしまいます。
法人でなければ取引をしてもらえないクライアントもあるので、注意しておかなければなりません。
法人設立のメリットとデメリット
法人設立をすると、どのようなメリットがあり、デメリットがあるのでしょうか?
法人設立のメリット
- 社会的信用力がある
- 節税する方法がたくさんある
社会的信用力がある
個人事業主とは取引をしない会社もあるので、法人になると取引先が広がります。
銀行から借り入れる際も、個人事業主よりも法人のほうが信用力もあるので、借り入れしやすいと言われています。
また、新たな人材を確保する時も、個人事業主より法人のほうがイメージも良いので採用しやすくなるのです。
節税する方法がたくさんある
赤字が出た場合、9年間は繰越して控除することができます。
個人事業主は3年間繰越することができますが、法人のほうが長い期間控除を受けることができるのです。
また、法人は所得にかかる税率が一定です。
個人事業主の場合は累進課税となるので、所得が増えれば増える程税率が高くなりますが、法人税は税率が一定なので変わりません。
法人設立のデメリット
法人設立は上記でも紹介いたしましたが、設立手続きが大変なことです。
日にちもお金もかかります。
それに、たとえ赤字であっても必ず払わなければならない税金があります。
法人の住民税です。毎年7万円はかかると思っておきましょう。
まとめ
起業して開業するとなると、個人事業主か法人設立かどちらかを選択することになります。
どちらにもメリットとデメリットがあるので、自分に合ったほうを選びましょう。
また、個人事業主となる前に、労働基準法や労災保険が無くなることや、配偶者控除が変わることもあるので覚えておきましょう。